私は昨年の7/27〜12/14の4ヶ月半の間、アメリカのコロラドスプリングスにある米国空軍士官学校への海外派遣に行ってきました。防衛大学校の海外派遣の制度について簡単に説明します。
防衛大学校では、「将来の幹部自衛官として必要な国際的視野に立脚した見識を養うとともに、進展性のある資質を育成すること」を目的とした海外留学の制度があります。区分としては1週間〜2週間程のものや、私が行かせていただいた4ヶ月程度のもの、また1年間の海外派遣もあり、アジアやアメリカ、ヨーロッパの国等たくさんの国へ行く機会が設けられています。人数は、派遣先によって異なりますが、私の場合は、私を含めた3人で米国空軍士官学校へ行ってきました。防大での同期の中ではおよそ50人ほど、つまりおよそ10%の学生が海外派遣の機会を得ることができます。
私が海外派遣を通して経験したこと、学んだことは数え切れないほどありますが、その中でも特に大切だと感じた、英語を勉強する意義、国を超えた友人関係、士官候補生としての在り方の3点に絞って述べたいと思います。
1.英語を勉強する意義について
グローバル化が進む現代において、英語は世界の共通言語として必須なコミュニケーションツールとなっています。自衛隊でも、海外を拠点とした任務が増加している現状を見ると英語が必要であることは明白です。
私は高等学校では、英語を得意としていましたが、この度の派遣で、アメリカに着いたばかりの時、私は英語を聞きとることで精一杯でした。ネイティブスピーカーの流暢な英語に加え、周りには頼れる日本人はいません。最初の1ヶ月程度は話を聞くばかりで、自分の思ったことを伝えることはほとんどできませんでした。困っていた私に同部屋のアメリカ人は、「たくさん話して練習するしかないよ!」と言ってくれました。彼は日本のことが大好きで、日本語の勉強をしていました。外国の人からすれば、最も難しい言語と言っても過言ではない日本語を精一杯喋っている友人を見て、私は負けていられないと思いました。そのうち、沢山の人たちと話していると、みるみる英語に慣れていき、今では1人で英語だけの環境に入れられてもなんとかやっていけるだけの自信は持てるようになりました。
言語学習はやればやるだけ伸びます。今は英語が苦手でも、沢山練習をすれば必ずできるようになるので、なかなか成果が出ないと悩んでいる人も是非継続していって欲しいと思います。必ずその努力が報われる時が来ます。
2.国を越えた人間関係について
自分が防大生であるということなど関係なく、海外で沢山の友人を作ることができたということはかなり価値のあることだと思います。派遣から2ヶ月経った現在でも、アメリカの友人たちとは連絡を取り続けています。私の同部屋だったアメリカ人は6月に日本に旅行に来るため、そこで再会する予定です。
この留学プログラムは防大のようにフランスやカナダ、ブラジル等、他国からも士官候補生が参加しているため、世界中の人たちと友達になることができました。たくさんの国の人間が集まり、文化を共有し、考えを共有するという機会はなかなか得られることではありません。私自身、日本の文化等を説明して驚かれることが沢山ありました。このような新しい発見があることも海外派遣のメリットだと思います。ここで築いた友人関係は将来幹部自衛官として働いていく上で必ず役に立つと信じています。
3.士官候補生としての在り方について
彼らの勉学に対する姿勢には目を見張るものがありました。日本の教育との違いもありますが、アメリカの学生たちは全員が自分の意見を持ち、それをきちんと表現していました。人を指揮する立場にある私たちが部下を引っ張っていく上で必要なのはそのような思考力、それを伝える能力だと思います。そのような勉学に対する姿勢が、リーダーシップ、フォロワーシップの醸成にも役立っているのではないかと思います。
ここまで私の経験談を述べてきましたが、最後に海外派遣に行くためには何をすれば良いのかを私の主観で述べたいと思います。
まずは、英語の勉強を頑張ることです。海外派遣の選考にはTOEICのスコアが用いられます。もちろん高ければ高いほど良いです。
次に、防大の3本柱と言われる、「学生舎、勉学、校友会」を頑張ることです(私の校友会はアメフトで、自分の好きな校友会にやや傾きがちでしたが…)。
その他に気になることなどがあれば、防大にいる学生も、これから入校する学生も是非、私の元まで聞きにきてください!大歓迎です!
65期生 航空要員 本園 修平
追記:
年末に家族でアメリカのオーランドに行きましたが、士官学校で一緒だったアメリカ人のご家族がホテルを訪ねて下さり、楽しいカウントダウンを経験しました。
投稿にある通り、違和感なく英語で会話できる息子を見て、逞しく感じました。
良い経験をさせてもらったと思います。
保護者 本園 淑江