防衛大学校を志望する学生と保護者の方へ

現役(2020年)学生から、アドバイスをご紹介します。

64期 鹿嶋学生から  65期 笹栗学生から  66期 岡田学生から

保護者の方へ

64期 鹿嶋学生(男子)

皆さんの入校に際し、少し先輩である私から少し偉そうですがアドバイスを致します。 

我々が1年生の時は、体罰、終わらない呼び出し指導、真夜中の腕立て伏せ等が横行しておりましたが、今はそんなことないです。悪い伝統は、新指導要領の導入により断ち切られました。 

したがって学生舎生活は、1年生としての掃除や各種作業等、最低限の仕事しかしなくて大丈夫です。ちゃんとこなせば怒られることもありません。 

しかし、入校する時に1つ注意点があります。それは防衛大学校は幹部自衛官を養成する場であるということです。したがって、任官拒否という制度がありますが、原則として認められてはいません。僕はどうしても自衛官になりたくない、私は絶対に任官拒否して民間の会社に行くんだ、という人は入校するのはやめておいた方が賢明です。 

自衛隊について詳しく知りたい人は自分で調べましょう。間違っても自衛官に聞いてはいけません。彼らは自衛官として歩んだ自分の人生を肯定したいがため、自衛隊の良いところしか言いません。良いところ悪いところを調べたうえで、自分で決めましょう。親の言いなりでは絶対に途中で挫けてしまいます。私は40歳の時の収入と福利厚生と部隊は楽しいよというホントかウソかわからないOBの言葉に一縷の願いを込めて任官します。 

私は九州大学に落ちて、防衛大学校に入りました。結果的には入って大正解でした。防衛大学校でしか経験できないことは数多くあり、その全てがかけがえのない思い出です。詳しいことは入ってからのお楽しみです。 

あと学生は全員部活に所属しなければなりません。ぜひラグビー部に入りましょう。友達もいっぱいできますし、なによりテストの過去問がたくさん手に入ります。 

65期 笹栗学生(男子)

私が現役防大生として皆さんへ送れるアドバイスは3つあります。 

1つ目 日々、自身が幹部自衛官となった際、どの様な振る舞いをすればいいか、熟考することです。将来幹部自衛官となった暁には、端正で整った制服を身にまとい、輝かしい名誉を手にします。一方でそこには多大な責任が伴います。有事(災害派遣や国防を揺るがす重大事件)の際には、指揮官として部下、隊員の命を預かり、時には苦渋の決断を強いられます。そんな時、部下たちが喜んで従ってもらえる、立派な幹部自衛官にならなければなりません。 

2つ目 日々、多くの知識を身に着けることです。授業の予習復習はもちろんのこと、自分が有効に使いうる時間を増やし、多くの書物を満遍なく多岐のジャンルに手を出してみてください。そして幹部自衛官として最低限の常識と世界観を身に着けてください。 

3つ目 日々、体力の錬成を行って、健康な体を維持してください。幹部自衛官としての職務には、体力が求められます。継続的な体力錬成を行ってください。 

66期  岡田学生(女子)

受験を希望されている方は、防大がどのような所で、どんな生活をしているのか、予め調べたり、人から聞いたりして情報を集めているとは思いますが、実際入校してみなければ分からないことが大半です。私も防大に入校して分かったことの方が断然多いです。 

防大の生活は1日1日濃いものです。特に着校してから約1ヶ月は、生活環境の急激な変化、慌てふためく対番、志半ばで退校する同期、上級生からの厳しい指導など戸惑うことしかないと思います。 

素直に伝えれば、入校するには、それ相応の覚悟が必要です。しかし、それを乗り越えることができれば、素晴らしい同期、上級生や先輩に出会い、自ずと自身も成長することと思います。 

一般大学に比べれば自由を抑制された生活ではありますが、防大でなければ得られないものは数え切れないほどあります。 

上級生は新しく入校する1学年のことを楽しみに待っています。 

保護者の皆様へ 

子どもを防衛大学校に入校させて心配になるのは、「防衛大が普通の大学ではない」ということ。「上下関係の厳しさや規律どおりの学校生活、訓練に我が子が順応できているだろうか・・・」ということです。 

まずは、防衛大学校の1年生の頃を教えてくれる「あおざくら」というコミックを読んでください。指導官や上級生の厳しさの理由が、追い込まれたときに冷静な判断ができる指揮官になる為の訓練だということが分かります。目に見えない防衛大学校の中の様子がよく分かって安心できます。 

自衛隊福岡地方協力本部には、防衛大学校担当の自衛官の方がいらっしゃいます。その方の保護者へのアドバイスをご紹介します。 

「防衛大学校に入校したということは、自衛隊の幹部候補生教育機関に就職したということです。そのことを保護者の方にはぜひご理解いただきたいと思います。お子さん達は仲間と共に頑張っています。もし何か問題が起これば、学校側から必ずご連絡致します。連絡が無ければ頑張れているということです。どうぞ幹部として成長するお子さんの頑張りを応援してください。」 

2019年にサマースクールで福岡出身の元陸上幕僚長の岡部俊哉氏をお招きして育友会の学生とのトークセッションを行った時の岡部氏からのアドバイスです。 

「自分の頃は親がカッター競技を見に来るなんて想像もできなかった。学校内の競技は訓練なので時代が変わったものだとつくづく感じます。保護者にお願いしたいのは、子離れをしてほしいということです。親も想いを我慢して、ご子息の成長を見守って下さい。」 

入校して1年生の間は電話はもちろん、LINEも既読にならないほど忙しい毎日を過ごしています。どうしているだろう?という心配から学校や教官へ保護者から連絡することは、親離れ、子離れしていない親子と思われてしまうことにもなります。心配な事があれば福岡地区育友会にご入会いただき、先輩保護者にお尋ねください。誰もが経験してきたことかもしれませんし、同じ大隊にいる先輩学生を通してご子息の様子を聞くこともできます。福岡地区育友会は親の想いを集めたご子息達の応援団なのです。